私たちは今、スマートフォンやインターネット、AIなど、便利な技術に囲まれて生活しています。
しかし、ここで一つ大きな疑問があります。
なぜこれほど便利になった現代で、私たちは疲れやすく、集中できず、不安を感じるのでしょうか。
その理由を考えるには、現代の脳の状態を、原始時代までさかのぼって考える必要があります。
なぜなら、人間の脳は現代社会に合わせて作られたものではないから
私たちの脳の基本的な仕組みは、はるか昔の環境の中で形作られました。
危険を察知する力。
周囲の人間関係を気にする力。
新しい刺激に反応する力。
これらは、原始時代の人間が生き残るために必要だった能力です。
しかし現代では、その同じ仕組みが別の形で私たちを悩ませることがあります。
SNSで他人と比べてしまう。
通知が気になって集中できない。
大量の情報で頭が疲れる。
これは、人間の脳が壊れたのではなく、昔の環境で最適化された脳と、現代社会の環境が合っていないことから起きているのではないでしょうか。
人間の脳は昔から大きく変わっていない
私たち人間は、現代の環境に合わせて作られた存在ではありません。
人類の歴史の大部分は、自然の中で生活していました。
食べ物を探す。
危険を避ける。
仲間と協力する。
周囲の変化に敏感になる。
こうした能力が、生き残るために重要でした。
そのため人間の脳には、
「危険をすぐ察知する力」
「周囲の人から認められたいという欲求」
「新しい刺激に反応する仕組み」
などが備わっています。
これらは昔の環境では、生きるために必要な能力でした。
しかし、環境だけが急激に変化した
問題は、社会の変化のスピードです。
昔の人間が何万年もかけて生活していた環境から、現代は数十年ほどで大きく変化しました。
スマートフォン
SNS
大量の広告
終わりのないニュース
常に届く通知 通知音
私たちの脳は、これほど大量の刺激を処理するためには作られていません。
例えばSNS。
昔なら「周囲の人間関係」を把握するために使われていた比較能力が、現代では世界中の人と自分を比べることに使われています。
「自分は遅れているのではないか」
「他人は成功しているのに自分は…」
昔なら必要なかった大量の比較を、毎日浴びるようになりました。
昔の環境では、素晴らしく適応した仕組みでした。
しかし、環境が急激に変化したことで、
「昔は役に立った能力が、現代では問題を生む」
という現象が起きています。
危険を探す能力は、不安を増やすことがあります。
刺激を求める能力は、スマホ依存につながることがあります。
認められたい欲求は、SNSで疲れる原因になることがあります。
便利な時代だからこそ、自分の脳を理解する
現代を生きる上で大切なのは、自分の意思が弱いと責めることではなく、
「自分の脳はどういう仕組みなのか」
を理解することだと思います。
人間の脳は、昔から大きく変わっていません。
変わったのは、私たちを取り囲む環境です。
だからこそ、現代社会で快適に生きるには、
脳の性質を知り、環境との付き合い方を考える必要があります。
便利なのに疲れる。
自由なのに忙しい。
つながっているのに孤独を感じる。
その矛盾の裏側には、太古から続く人間の脳と、急速に変化した社会のズレがあるのかもしれません。
参考記事

「人間の脳の基本的な仕組みは、祖先が生きていた環境の中で形成され、現代社会の急激な変化に対して進化が追いついていない部分がある」
この研究では、祖先の環境で適応した身体的・心理的特徴が、現代のように環境が大きく変化した状況では、必ずしも適応的に働かない場合があるという「進化的ミスマッチ」の考え方が説明されています。


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